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「ハンマークラヴィーア」に到達しました! 〜ウィルヘルム・バックハウス ベートーヴェン:ピアノソナタ全曲完聴記(その8)
ここまで来ると残すところCDの枚数にしてあと一つです。
「ハンマークラヴィーア」はベートーヴェンのピアノソナタ全32曲の中で最高峰に属する大作です。ここまで来るとベートーヴェンのピアノソナタにとっては後期に属するといっても過言ではありません。

曲目:(全曲ベートーヴェン作曲)
ピアノ・ソナタ第28番イ長調作品101
ピアノ・ソナタ第29番変ロ長調作品106「ハンマークラヴィーア」
発売:ユニバーサルクラシック
価格:1000円
(注意:限定盤につき売り切れ次第終了)
なお、「ハンマークラヴィーア」のみモノラル録音です。
あらかじめご了承ください。
それでは、まず「ハンマークラヴィーア」に先立ちまして第28番を聴きましょう。
第28番は3楽章で構成されていますが、第3楽章が序奏と主部に分かれています。
それで、第3楽章ではトラックも二つに分かれています。
第1楽章はアレグレット・マ・ノン・トロッポ、そして「幾分速く、そして非常に深い感情をもって」と表記されています。
曲はするすると流れるように始まりました。
バックハウスの演奏を聴く限り、後期に近づくほど音が流れるようになってきます。
激しく吠えたけるような獅子のような感情は消え失せ、ただ流れるような感じです。
そうこうしているうちに、第2楽章に入ってしまいました。
第2楽章はスケルツォ楽章なんですが、それでもなんだか流れるような感じがします。
美しい歌がこの楽章でも流れています。
この楽章はヴィヴァーチェ・アラ・マルチア、そして「生き生きとした行進曲風に」と表記されています。
それでもなお、美しい歌が満ちています。
なんだかやさしい感じがします。これまでのベートーヴェンのピアノソナタにはなかった感触です。
第3楽章はなんだか悲しげな序奏で始まりました。
しかしながら、それがまた美しいのです。
そのあとで、その悲しみを受け止めるようかのように主部に入りました。
先ほどの悲しみを慰めるような感じです。
これもまた、流れるように進んでいきます。これほど美しいメロディーを聴きますとなんだか書くのも忘れてしまいそうです。
しばらくして、フーガの入りのようなポリフォニックなところに入りました。
ポリフォニックな作り方はクライマックスを構成するのに適しているようです。
ポリフォニーによる曲の作り方は、モーツァルトの「ジュピター」交響曲の終楽章にも見られるところです。
やがて、静まり返るように美しい歌が流れていきますが、その中でポリフォニーに満ちた旋律が流れていき、堂々としたフィナーレを迎えました。
さあ、お待ちかねの第29番「ハンマークラヴィーア」を聴きましょう。
「ハンマークラヴィーア」は先ほどお話ししましたようにベートーヴェンのピアノソナタ全32曲の最高峰です。
第1楽章はファンファーレのようなモティーフの後で流れるような旋律が流れてきます。
バックハウスはステレオで「ハンマークラヴィーア」の録音を残さなかったのですが、このCDで聞いてみてもそれほど録音が劣っているとは思いません。
美しい音楽です。美しいメロディーにポリフォニーが加わり、独特の音楽を響かせているのです。
展開部のメロディーがポリフォニックに絡んできて頂点を作り上げる構成はベートーヴェンらしい作り方ですが、それでも今までのソナタではこのソナタのように歌に満ちてはいません。
ようやくといっていいくらいですが、美しさの中に構成がしっかりと築かれている作品となったのです。
まさに規模雄大な曲である。
曲目解説では「ハンマークラヴィーア」についてこう書いていますが、まさしくその通りです。
第2楽章はスケルツォ楽章です。とはいえ、非常に短くしかもその中に歌があふれているのです。
第3楽章は緩叙楽章ですが、ものすごく長い楽章です。
とはいえ、美しいメロディーがこの楽章に満ちています。
メロディーだけのところも時々聞こえます。
美しい・・・まるでショパンのようなところもあります。
こうしていると、聴きながら書いていますがしばしこの世の雑念を忘れさせてくれます。
やさしい音による対話がこのCDから聞こえてきます。
ベートーヴェンの後期特有の感触といいますでしょうか、優しさの中に構成された美が見えるような感じがします。
ちなみに、この第3楽章はこのCDでは16分31秒かかります。
第4楽章ではラルゴによります序奏とアレグロ・リゾルートによる主部に分かれています。
序奏は静かに始まりました。呟くような静かな音から時々激しいモティーフが現れますが、それもあんまり長く続きません。
主部に入ると、一つの旋律で始まりそのあとで旋律が増えていくような感じになりました。
フーガの形式で作られているのでしょうか。美しい旋律に満ちた第3楽章の後は堂々たる終楽章です。
しばらくすると歌うような旋律が聞こえます。とはいえ、この中にもポリフォニーが隠れているのです。
美しい旋律によってポリフォニーが構成されていく・・・。
今までのベートーヴェンの経験が十二分に生かされた楽章と言えます。
そして、壮大なクライマックスがポリフォニーに満ちたコーダに築かれてこのソナタは終わったのでした。
ハンマークラヴィーア wikipediaへのリンクを設けておきました。そちらのほうもご覧下さい。おそらく私の解説よりも詳しいと思います。
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